成績アップのためにご褒美制度を導入するのはアリ?それとも逆効果?
中学生の息子の成績がなかなか上がらず悩んでいます。塾にも通わせているのですが正直あまり効果を実感できていません。家でも宿題を自分からやろうとせず、私が声をかけないと手をつけない状態です。放っておくとスマホや漫画ばかりで、勉強に対する意識がなかなか変わりません。そこで、テストの点数によってご褒美をあげる制度を試してみようかと考えています。例えば80点以上なら1,000円、60点以上なら500円といった感じで、少しでもやる気を引き出せればと思っています。ただ、こうしたご褒美制度を導入すると、「ご褒美のために勉強するだけになってしまうのでは?」 と不安もありますし、長続きしなかったら意味がないとも思っています。そもそもこういうやり方は効果があるのでしょうか? それとも、もっと根本的に勉強の楽しさや大切さを感じさせる方法を考えた方がいいのでしょうか?どうすれば息子が前向きに勉強できるようになるのか教えてください。
教育のプロの視点からアドバイス
ご褒美制度は短期的なモチベーションアップには有効ですが、長期的に見ると「外発的動機づけ」になりがちで、報酬がなくなると勉強意欲も低下する可能性があります。重要なのは「内発的動機づけ」、つまり「学ぶこと自体の楽しさ」や「できるようになる喜び」を感じさせることです。たとえば、テストの点数だけでなく「毎日30分勉強を続けられたら好きな本を買う」など、努力そのものを評価する仕組みにすると学習習慣が定着しやすくなります。
保護者の視点からアドバイス
親としては、つい「何かを与えれば頑張るのでは?」と考えてしまいますが、勉強が親子の駆け引きになるとお子さんの自主性が育ちにくくなります。報酬を設定するなら「短期間のお試し」としてルールを決め、「報酬なしでも勉強する習慣がついたら終了」と明示すると良いでしょう。また、結果だけでなく「努力」を褒める習慣をつけることで、長期的に自ら学ぶ姿勢が育まれます。時には一緒に勉強して「学ぶ楽しさ」を共有するのも効果的です。
法的安心の視点からアドバイス
お金を報酬にすることは一見シンプルですが、「報酬がないとやらない」という条件反射的な思考を生み出すリスクがあります。特に中学生の時期は将来の金銭感覚や労働観に影響を与えることも。報酬を与える場合、「物」や「経験型のご褒美」(例えば家族で映画に行く、好きなゲームの時間を増やす)などにすると、学びの習慣が健全に身につきやすくなります。勉強は自分の未来への投資だと伝え、意識を変えていくことが大切です。
本サービスで提供されるアドバイスや見解は、あくまで個人の意見です。これを参考にした結果生じた損害やトラブルについて、当社は責任を負いかねます。また、法的安心の視点でのアドバイスは正式な法律相談ではありません。具体的な法的問題は、専門の弁護士にご相談ください。
有識者の見解 (2件)
沖津 亮佑 先生
個別進学塾セルフクリエイト水戸校
お子様の勉強のやる気を上げる方法、なかなか難しいですよね。
ご褒美制度を取り入れることについてですが、1つの方法としては良い選択です。1回か2回の実施であれば効果が期待できるでしょう。
ただし、そのご褒美は勉強を始めるためのモチベーション(動機付け)にはなりますが、持続的なやる気には繋がりにくく、長続きしないことが多いです。
ここでは、ご褒美制度を活用したやる気の上げ方と、ご褒美以外でやる気を引き出す方法をご紹介します。
▼ ご褒美制度でやる気を上げる方法
「80点取ったら○○」「60点取ったら○○」といった一律の基準を設けるのではなく、各テストごとにお子様自身に目標を決めてもらいましょう。この目標は点数でも勉強時間でも、宿題の実施率でも構いません。
目標が達成できたらご褒美を与えるという形のご褒美制度をおすすめします。
また、目標が複数ある場合は、「1個達成で○○」「3個達成で○○」といった段階的なご褒美制度も良いでしょう。
▼ ご褒美以外でやる気を上げる方法
お子様のやる気を効果的に引き出せるのは、親よりも第三者であることが多いです。そのため、塾の力を借りることが一番の方法です。
「最近、家で宿題をしようとせず、勉強に対する意識が上がっていません。少しでも勉強のやる気が上がるようにサポートしていただきたいです」と、今通っている塾に相談されてみてください。
それでも変化が見られない場合は、お子様のやる気を引き出せそうな塾への転塾を検討されることをおすすめします。
西尾 信章 先生
セルモ日進西小学校前教室
ご褒美制度について悩まれるお気持ち、よくわかります。確かに「ご褒美のためだけに勉強するのはどうなのか?」という不安はありますが、大人でも仕事でインセンティブがあるように、適切に使えば効果的なモチベーションになります。大事なのは、ご褒美が「親からの一方的な押しつけ」ではなく、「お子さん自身がチャレンジしたい」と思える形にすることです。そうすれば、ただの報酬ではなく、目標に向かうための励みになります。
具体的には、親子で話し合い、どの科目で何点を目標にするか、どんなご褒美なら頑張れるかを一緒に決めるとよいでしょう。「80点取ったら〇〇を買ってあげる」ではなく、「80点取れたら何が嬉しい?」と聞いてみてください。すると、お子さん自身が「これなら頑張れる」と思える目標を設定でき、主体的に取り組む意識が芽生えます。また、点数だけでなく「毎日30分勉強したら」など、プロセスを評価する仕組みも加えると、より継続しやすくなります。
勉強の楽しさや大切さを感じさせるのももちろん重要ですが、最初は「やらなければいけないことをやる」という習慣をつけるのが優先です。ご褒美を上手に活用しながら、成功体験を積ませてあげましょう。少しずつでも「やればできる!」という実感が持てるようになれば、ご褒美がなくても自分から勉強する姿勢が育っていきますよ。