塾で習った解き方を学校で使ったら不正解に…納得がいきません
小学生の子どもが塾で習った計算方法を使って学校のテストを解いたところ、「まだ学校で教えていないやり方だから」とバツにされてしまいました。答えは合っているのに不正解になることが納得できず、子どもも少し気にしています。塾では先取り学習で進んでいるので、これからも同じことが起こるのではと心配です。学校の先生に相談しても方針が変わるとは思えませんし、塾で「学校のテストでは使わないように」と指導してもらうのも違和感があります。親としてどのように対応すればよいのか悩んでいます。このような学校と塾の違いについてどう折り合いをつければよいのでしょうか?
教育のプロの視点からアドバイス
塾で学んだ解法が学校で認められなかったことは、お子さんにとって納得しづらい経験でしょう。しかし、教育現場では統一性も重要視されます。学校の授業では、学年ごとの指導計画に沿って知識を積み上げるため、独自の解法が受け入れられにくいこともあります。今後の対策としては、塾で学んだ方法を学校の授業内容と比較し、どの場面でどちらを使うべきかを一緒に整理することが大切です。お子さんが柔軟に使い分けられるようサポートしていきましょう。
保護者の視点からアドバイス
お子さんの落ち込む気持ちはよくわかりますね。親としては、解き方が間違っていたわけではないことをしっかり伝え、自信を失わないようフォローすることが大切です。また、学校と塾では学習の進め方が違うことを理解し、テストでは学校のやり方を使うなど、うまく折り合いをつける方法を一緒に考えてあげましょう。学校の先生にも解き方の違いで混乱していることを伝え、配慮してもらえるよう相談するのも一つの手です。
法的安心の視点からアドバイス
学校のテストでは指定の解法が求められることがありますが、これは教育の裁量の範囲内であり、法的には問題のない対応です。ただし、指導があまりに不合理で、お子さんの学習意欲を著しく損なうような場合は、教育委員会などに相談する選択肢もあります。一方で学校の評価基準を理解し、その範囲で対応することが実際的な解決策です。お子さんに「場面に応じた解法の選択は大切なスキル」と伝え、前向きに受け止められるよう促しましょう。
本サービスで提供されるアドバイスや見解は、あくまで個人の意見です。これを参考にした結果生じた損害やトラブルについて、当社は責任を負いかねます。また、法的安心の視点でのアドバイスは正式な法律相談ではありません。具体的な法的問題は、専門の弁護士にご相談ください。
有識者の見解 (3件)
沖津 亮佑 先生
個別進学塾セルフクリエイト水戸校
答えが合っているのに不正解にされると、お子様も気にしてしまいますし、保護者様としても今後の勉強に影響が出ないか心配ですよね。
まず、お子様に「学校の勉強」と「塾の勉強」の違いについて改めて話してみてください。
その上で、「学校ではバツにされちゃったけど、学校のやり方よりもすごい解き方ができているね。お母さんはあなたの考え方、とてもいいと思うよ!」と、お子様の取り組みをしっかり承認してあげましょう。
また、「これからも塾で学んだ方法を使うと、学校ではバツにされることがあるかもしれないけど、どうしたい?」と、お子様の意見を聞いてみてください。
もし、「バツにされるのが嫌」と感じているようなら、「学校のやり方もできるように頑張ろう!」と励まし、
「塾で学んだことを活かしたい」と思っているなら、その気持ちも尊重してあげるとよいでしょう。
その場合、「採点に納得いかないことがあったら、お母さんに見せてね」と伝えておくと、お子様も安心して学習に取り組めると思います。
山本 涼太郎 先生
個別教育クラーク
これは悩ましい問題ですね。正しい答えを出しているのにバツになるのは納得しにくいし、お子さんのモチベーションにも影響を与えかねません。でも、この状況には学校の立場と塾の立場の違いが関係しているので、「双方のバランスを取ることを学べるチャンスかも〜」と考えてみましょう。
1. なぜ学校のテストでバツになるのか?
学校では「考え方のプロセス」を重視することが多いです。つまり、決められた学習順序に沿って「この時期にはこの方法を使う」という指導方針があるので、それと違う解き方をすると減点されるというのはよく聞きます。
ただし、これは「お子さんが間違っている」という意味ではなく、あくまで、学校の採点基準の話です。
2. 塾の学習との折り合いのつけ方
塾では先取り学習をするので、お子さんにとって「すでに知っているやり方のほうが速くて便利」だと感じるのは当然です。でも、学校では「みんなが同じ手順で考えられるように」という指導意図があるため、その差が問題になってしまうんですね。
だからといって、「学校のテストでは使わないように」と塾で指導するのは、お子さんの学びを制限してしまうようで、違和感があるのも分かります。
3. 親としてできる対応策
① お子さんへの声かけ
「塾のやり方はすごく良い解き方だけど、学校ではまだ習っていないやり方だから、それに合わせることも大事なんだよ」と伝えてみるのはいかがでしょう。
「どちらのやり方も知っているのはすごく強みだから、学校のテストでは先生のやり方を使って、塾では自由に使ってOK!」と切り分けるイメージです。
② 学校の先生とのコミュニケーション
「塾で学んだ方法を使うとバツになってしまうことがあるので、家庭での対応を考えたいのですが、学校としてはどのように指導されていますか?」と相談してみるのもアリです。
先生も「この子は意欲的に学んでいるな」と理解を示してくれるかもしれませんし、場合によっては「こういう時は部分点をつける」というような、柔軟な対応があるかもしれません。
③ 柔軟な思考を育む
「答えは合ってるのに」というお子さんの気持ちもわかるのですが、それぞれの立場を考えて配慮する力も、社会では必要になってきます。
こういうときは、お子さんがわかりやすいように、よく知っているものに例えて伝えます。たとえば、「スポーツの試合にはその競技のルールに従うように、学校のテストには学校のルールがあるよね。でも、実生活ではどんなやり方でもOKなんだよ」と伝えると、お子さんも受け入れやすくなるかもしれません。
4. 今後の学習にどう活かすか
学校と塾の違いに戸惑うことはあっても、「どちらも大事な学び」と捉えることができれば、お子さんの柔軟な思考力が育ちます。
長期的には「状況に応じて使い分ける力」も大切なので、「学校のテストでは先生のやり方を使う」「塾や家庭学習では自分に合ったやり方でOK」と、TPOに合わせた対応ができるようになるといいですね。
まとめると、どちらかを否定するのではなく、両方の学びを活かせる視点を持つことがポイントです。
「塾で学んだことを知っているのはひとつ武器が増えた」と伝えつつ、「学校のテストはそのルールに従ってみる練習になる。今はそういうことを学ぶ時期なのかもしれないね」と伝えると、お子さんのモチベーションも保てるはずです。
これからも、どんな学び方が本人にとってベストかを考えながら、一緒に楽しく学んでいきましょう。
西尾 信章 先生
セルモ日進西小学校前教室
お子さんの気持ちを考えると、答えが合っているのにバツをもらうのは納得しづらいですよね。でも、算数や数学は一つのやり方に縛られず、さまざまな考え方で答えを導き出せることが大切です。バツをもらったとしても、お子さんがしっかりと理解し、自分で解けているのであれば、それを大いに肯定してあげてください。「学校のルールではこうだけど、自分の考え方を持つのは素晴らしいことだよ」と励ましてあげると、お子さんの自信にもつながります。
学校の先生の方針は、なかなか変わらないかもしれませんが、それを気にしすぎる必要はありません。テストの点数だけにこだわるのではなく、お子さんが自分に合った解き方を見つけていけることが、学びの本質です。学校のやり方を理解しつつも、柔軟に考える力を育てることを大切にしましょう。中学・高校に進むと、自由な発想を歓迎してくれる先生にもきっと出会えます。
親御さんとしては、「テストでは学校のやり方に合わせる必要があること」と「さまざまな解き方を知ることの大切さ」の両方を伝えてあげると良いでしょう。「本当はどちらも正しいけれど、今はこういうルールなんだね」と、前向きに受け止める姿勢を示してあげることが、お子さんの成長につながりますよ。