宮川 涼 先生|投稿履歴

宮川 涼 先生

武蔵野個別指導塾

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オンライン塾に通っていますが集中力が続きません

1. オンライン学習で集中力が途切れやすい背景 ●監視の欠如(ソーシャルファシリテーションの低下) 対面授業では、周囲の生徒や講師からの視線(いわゆる「社会的監視効果」)が脳の前頭前野を刺激し、自己制御機能を高めます。オンライン環境では、この社会的な圧力が弱まりやすく、「見られている感覚」が薄れることで注意力が散漫になる傾向があります。 ●報酬系への誘惑(ゲームやSNSの影響) パソコンやタブレットは、学習ツールである一方で、ゲームやSNSといった即時的な快感を得やすいコンテンツにもアクセスできるデバイスです。特に思春期は「報酬系」(主にドーパミン分泌を司る脳回路)の働きが活発で、短期的な快楽を優先しがちな時期です。そのため、学習よりもゲームなどに意識が向かいやすい環境は集中を妨げる原因になります。 ●ピアエフェクトの欠如 同世代の仲間が近くにいると「負けたくない」「一緒に頑張りたい」という気持ちが脳を活性化させます。オンラインではこの刺激が得にくく、モチベーション低下につながりやすいです。 2. オンライン授業を続ける場合の対策 (1) 環境デザインの徹底 ●専用の学習スペース ゲーム機やスマホなどの「誘惑源」を物理的に遠ざけましょう。机の上には勉強に関係のある道具だけを置き、脳の視野に余計な情報を入れないように。視覚的・聴覚的ノイズの除去自宅の環境音や家族の動きも集中の妨げになる場合があります。ノイズキャンセリングイヤホンも有効です。 (2) こまめな休憩と学習時間の区切り ●ポモドーロテクニック 25分の学習→5分の休憩というサイクルを繰り返す方法は、前頭前野への負担を軽減し、集中力を維持するのに効果的です。 ●短期目標の設定 「今から25分でこの問題を○問解く」など、学習時間を細かく区切ることで達成感が得やすくなり、モチベーションUPに。 (3) オンライン授業中の「監視体制」を補強 ●カメラをオンにする・顔が見える状態にする 自分が常に見られている感覚は、脳の自己制御機能を高めやすいです。 ●学習内容のアウトプット 授業後に「今日学んだ内容を何分でまとめられるか」を試したり、親御さんが簡単に口頭テストをするなど、学びをアウトプットする仕組みを作りましょう。人に説明するために学習した内容を整理する過程が、記憶や理解度を深めます。 (4) オンラインでも「つながり」を意識する ●同級生や友達とのオンライン勉強会・チャットの活用 友達とお互いに進捗を報告し合うだけでも、脳の報酬系をポジティブに刺激できます。 ●学習塾や講師とのコミュニケーション強化 チャットやメールなどで進捗状況を共有し、講師からのフィードバックをこまめにもらうことで、見守られている感覚を得やすくなります。 3. 対面授業に戻す場合のメリット・デメリット ●メリット 直接的な監視・声かけ周囲の目がある環境は、自己制御機能を高めやすくなります。ピアエフェクトによるモチベーション維持。ライバルや仲間の存在が、思春期の学習意欲を大きく左右します。双方向のやり取りがスムーズになり、即座に疑問点を質問できるなど、対面ならではの臨場感とサポートを得やすいです。 ●デメリット 通塾にかかる交通費や時間を考慮する必要やオンラインに比べて時間的な柔軟性が低くなります。また、外出の必要があるため、家庭の状況によっては時間や手間のコストが増大します。 4. ハイブリッド(オンライン+対面)という選択肢 コスト面のメリットを生かしながら、要点を対面で補強する「ハイブリッド型」を検討するのも一案です。週に一度や月に数回だけ対面の授業を受け、それ以外をオンラインで行うことで、以下のような効果が期待できます。 ●定期的な直接のモニタリング 講師と直に会う機会があることで、学習姿勢や取り組み状況を把握してもらえます。 ●仲間との交流時間確保 完全オンラインよりも、周囲から刺激を受ける機会が増え、モチベーション維持に繋がります。 ●柔軟な時間管理 完全対面よりは自由度が高いため、家庭の事情に合わせやすくなります。 5. 親御さんとしてのサポートのポイント ●コミュニケーションと観察 お子様がなぜオンラインだと集中できないのか、どのような状況で気が散りやすいのか、具体的に話を聞きましょう。小さな変化も見逃さずに、学習環境に活かすことが重要です。 ●目標設定とプロセス重視 テストの点数だけではなく、「今日は何を理解できたか」「どのように勉強したのか」といったプロセスに目を向け、達成できた部分を具体的に褒めることで自己肯定感を育てます。

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